今季からレアル・マドリーに加入したイングランド代表のジュード・ベリンガムはスケールの大きさを感じさせる素晴らしい選手です。ポジションはMFですが、11/3時点で公式戦13試合に出場し、13ゴール3アシストを記録しています。しかも、まだ6月に20歳になったばかりの若者なのです。
ほぼアーセナルの試合しか見ないので、スペインリーグの試合を観る事はないのですが、昨年のワールドカップでイングランド代表戦を視聴した時に、初めてベリンガムを観て、いずれバロンドールを取りそうな選手だと直感で感じました。恵まれた体格にボックス トゥ ボックス型のイングランドの伝統的なMFでもありますが、エレガントさも余裕も感じさせるプレイスタイルは、滅多にお目に書かれる類の選手ではありません。17年間アーセナルを応援し続けていますが、私は戦術に関しては未だに一切理解できないですし、サッカー経験者でも無いので、選手の本当の凄さに気づいていない部分は多々あります。そんな私でも、何試合か見ただけで、ベリンガムは末恐ろしい選手だと感じました。
チャンピオンズリーグでアーセナルが勝ち上がれば、どこかで久しぶりにレアルと対戦する機会が出てくると思います。今から非常に楽しみです。
ベリンガムを見ていると、かつてアーセナルに所属していた一人の元フランス代表のMFの事がフラッシュバックします。そう、今回のお話の主人公でもあるアブー・ディアビです。
ベリンガムとまったく一緒のプレイスタイルというわけではないのですが、高身長でボックス トゥ ボックス型な点は似ています。アブーはテクニックが素晴らしく、キープ力もあって、中盤を制圧する支配力がありました。アーセナルあるあるですが、相手からのタックルで負傷させられることが多く、将来有望なのに、怪我でキャリアが思い通りにいかなかった選手でもあります。私の中ではジャック(ウィルシャー)と並ぶ、アーセナルの「ガラスの天才」の1人です。
アブーの魅力は、なんといっても試合中の「ふてぶてしい態度」です。決してサボる選手ではないのですが、余裕というか、一生懸命に走っているのに、それを感じさせない、見せないようにプレイする姿勢が好きでした。ボールを持つと、懐が深く、足元のテクニックもあるのでキープ力が高く、ディフェンスも上手でした。サッカー経験者だった私の友人が、初めてアブーのプレイを見た時に衝撃を受けたみたいで、「あの選手はなんなんだ?」と夜中に連絡してきたほどです。当時、世界的に有名な選手というわけではありませんでしたが、将来がとても楽しみな選手でした。
残念ながら、前述した通り、本人の責任ではないのですが、怪我が多く、コンディションが整ってきても怪我で再離脱を繰り返すなど、キャリアの良い時期をリハビリで過ごすことが多かったのが悔やまれます。それでもピッチに戻ってきたら、そのプレイで夢を見せてくれる。いつか世界でも指折りのMFになると確信していました。本当に「美しい」そして「儚い」選手でした。
彼に関しては、背番号についての謎があるのですが、アーセナル在籍時のほとんどの期間、背番号は「2」でした。普通でしたら、「2」はDFの選手の中で、とりわけサイドバックの選手が着用することが多い番号なのですが、アブーの場合は、ほとんどが中盤で、たまにトップ下にも配置されるような選手でしたので、なぜ「2」をつけていたのが今でも不思議です。アーセナルというチームは、DFのウィリアム・ギャラスに背番号「10」を着用させたり、ヨハン・クライフの有名な背番号である「14」をFWのティエリ・アンリに与えたりと、たまにユニークな背番号選びをするので、本当に変なクラブです。アンリの「14」に関しては、今ではエース番号になっていますが、ギャラスの「10」は無かった事にされているような雰囲気があります。アブーの「2」も最初は変な感覚でしたが、彼の事を思い起こすと、必ず背番号「2」もセットで思い出すので、結果的には良かった(?)のかもしれません。
現在はアブーと同じフランス代表のウィリアン・サリバが「2」を着用しています。ポジションはDFで、昨季のプレミアベスト11に選ばれるほど、若くて実力のある選手なので、アブーとはポジションが異なりますが、背番号を引き継いでくれた事に嬉しさと、今後への期待が膨らみます。
終わりに、アブーにはどんな形であれ、いつかはアーセナルに戻って来てきて欲しいです。もう一人の「ガラスの天才」であるジャックは現在アーセナルユースの指導者となっています。ジャックもそうですが、アブーも決して順調な現役時代だったわけではないので、トップチームやユースチームに在籍している、多くの若い選手たちに伝えられる言葉は多いと思います。
何より、私はアーセナルの中で、もう一度アブーの姿を見たいと節に願っています。
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